ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~@COMIC 第1話
ストーリー概要
ティアムーン帝国唯一の皇女ミーア・ルーナ・ティアムーン、20歳。革命によって断頭台に送られ、ギロチンでその生涯を終える――はずだった。目覚めると12歳の自分に戻っていたミーアは、血のついた日記帳を手がかりに「二度目の人生」で処刑の運命を回避すべく行動を開始します。第1巻では全5話+番外編が収録され、転生直後の混乱から、メイドのアンヌとの関係再構築、料理や日常を通じた周囲との交流、そして物語の核心に迫る伏線が丁寧に張られていきます。
レビュー
いやもうね、冒頭のインパクトがすごい。第1話の扉ページ、いきなりギロチンですよ!!群衆の「アアアア」という歓声が響く中、ミーアが「どうして……どうしてこんなことに」って絶望してるわけです。表紙のあの能天気な笑顔の姫様が!!このギャップだけでもう掴みは完璧。
で、ここからが面白いんですけど、ミーアって別に聖人君子じゃないんですよね。むしろ保身のために必死で動いてるだけ。「すべてはギロチンの運命を回避するために!」って、動機が100%自分のためなのに、結果的に周囲の人を助けちゃうっていう。この構造がめちゃくちゃ上手い。
杜乃ミズ先生の作画が本当に素晴らしくて、特にキャラクターの表情の描き分けが秀逸です。ミーアの「計算高いようで実はポンコツ」な表情、アンヌの健気で涙ぐんだ瞳、それぞれが物語の感情を的確に伝えてくれます。コメディシーンでは集中線やデフォルメを効果的に使い、シリアスシーンでは雪の降る牢獄で金網越しに向き合う二人を大ゴマで見せるなど、演出の緩急が見事。
美味しそうなスイーツがけっこうしっかり描かれてるのも個人的にポイント高いです。豪華なケーキの登場からドタバタまで、なんだかグルメ漫画の一場面みたい(笑)。ミーアが前世の記憶を活かして立ち回る姿は、まるで『信長のシェフ』ならぬ『皇女のパティシエ』か!!(言いたかっただけ)
キャラクター分析
ミーア・ルーナ・ティアムーン ―― 本作最大の魅力はこの主人公に尽きます。わがままで自己中心的だった前世の反省から行動を改めるものの、その動機はあくまで「死にたくない」という切実な保身。ところが、この利己的な動機から生まれた行動が結果的に人々を救い、感謝されていくという逆説的な構造が絶妙です。表紙で見せるあの自信満々の笑顔と、内心ビクビクしている本音のギャップがたまらない。
アンヌ ―― 赤髪のメイドさん。処刑の日にも髪を整えに来てくれた忠義の人。前世で冷遇していたにもかかわらず最後まで尽くしてくれた彼女の存在が、ミーアの行動を変える大きなきっかけになっています。牢獄での再会シーンは本巻屈指の名場面で、涙腺にきます……。
青年 ―― 表紙でキメ顔してる彼、気になりますねえ。口元に手を当てて考え込むポーズがなんとも意味深。今後の展開でミーアとどう絡んでくるのか、これは続巻を買わねば!!
印象的なシーン
やはり第1話冒頭の処刑シーンと、雪の降る牢獄でアンヌと再会する場面の二つが圧倒的です。特に後者は、金網越しに涙を流すアンヌの大きな瞳のクローズアップが胸に刺さります。「わたくしに尽くしてくれるんですの?」というミーアの問いかけに、前世での後悔と今世での決意が凝縮されていて、作画・構図・セリフすべてが噛み合った名シーンと言えます。コマ割りも大胆で、見開きに近い大ゴマで雪と涙を描く演出は、杜乃ミズ先生の画力あってこそ。
総合レビュー
「転生やり直しもの」というジャンルは数多ありますが、本作の強みは主人公の動機が「保身」という人間臭さにあります。崇高な理想ではなく「ギロチンで死にたくない」というシンプルかつ切実な動機だからこそ、読者は共感でき、そこから生まれる勘違いコメディが自然に機能しています。
原作・餅月 望先生の巧みなストーリー構成を、杜乃ミズ先生が繊細かつ華やかな作画で見事にコミカライズしており、キャラクター原案のGilse先生のデザインも含め、三位一体のクオリティ。ファンタジー好きはもちろん、「悪役令嬢もの」や「やり直し系」が好きな方には間違いなくおススメです。シリアスとコメディのバランスが絶妙で、泣けて笑える一冊ですよ!!